父犬と母犬の役割
母の優しさ、父の厳しさ
これが感動を刻む子犬たちに育つのです!
母犬は生まれたときからずっと子犬につきっきりで面倒を見ます。
子犬の体をなめ回し、常にきれいな状態にしてあげます。
排泄を促したり、はぐれた子犬を頭を優しく口でくわえて運んだり。
それが生後3週ほどこまめに面倒を見ます。その頃には目もしっかりと見え、子犬たちは産室の中をあちこちと動き回り、母親の後を付いて動き回ったりしています。その一週間ほど前に目が開いた時点で、私たちは母犬と共に人生勉強の第一歩を教えます。
これは当犬舎の考えで人間の社会性と犬の社会性の両方を刷り込むためにおこなうのですが、やり方は公開できません。これが当犬舎の拘りでもありますし。
その後は屋外に母犬と子犬を出して群れでの生活が始まります。最初は興味を持ってまわりをちょこちょこと歩き回り、他の先輩子犬や成犬から匂いを嗅がれたり、あとを付いて回られたりしています。充分に慣れてきたら、今度は休んでいる母犬の側に行き、母犬の背中の上、お腹周辺、お尻のところなど、母親の体に触れて昼寝をしています。兄弟姉妹とのじゃれ合い。先輩子犬から追いかけられたり遊びに誘われたりしながら、感情表現を学んでいます。生後2ヶ月ほどには、すでに兄弟姉妹で優位性を示す遊び方をします。そして先輩子犬が見せる優位性を示す行動に対し、対応するための行動、下位の子たちが取るポーズを取りながら、力の差を感じて上手に対応することを覚えていくのです。そして時折見せる母犬の遊びを誘うポーズを見て、子犬たちは一斉に群がり、母犬とスキンシップを図っています。
そして日増しにじゃれあいに力を感じるようになり、時折ケンカを交えながら兄弟姉妹同士で力関係について、ケンカを避けるための表現法などを学んでいくのです。この子犬同士の遊びの一環として始まるケンカですが、これに手を出すことなく私たちは眺めております。見ていると解るのですが、常に攻撃をするわけでなく、ただうなり声をあげながらじゃれ合い、そしてパッと冷静になり、そこで終了してしまいます。こうやって毎日毎日犬の社会性を学んでいくのです。
それからだんだんと激しくなる遊びを経て、最初はまったく手を出さずにいた父犬たちが、やってはいけない決まり事をしっかりと教えていきます。
食事を摂っている父親に近づこうものなら、その時その時の子犬の成長に合わせて、威嚇だけに留まっていたり、ガウ!と言って、子犬の口を咬んだり咬むフリをしたり。
しかし子犬は驚くものの、まったくの無傷。
そうやって日々学んで立派な感情表現ができる子犬に群れの仲間がしっかりと育てているのです。これが犬の社会性です。
やらなくて良い争いを避けるための表現方法。群れをまとめるために必要な支配性に関する表現法。これらを子犬たちは生活の中で覚えていくのです。
そうやって本当の犬らしい感情表現豊かな子犬へと育つのです。